電電公社に入社して32年3か月経った、2007(平成19)年6月、NTT東日本取締役神奈川支店長で、すごろくはおしまい。そのあとは、NTTラーニングシステムズ2年、NTTクオリス(現NTT印刷)4年、NTTタウンページ5年と、グループ会社で社長を勤めました。
NTTラーニングシステムズの2年は短かったですが、グループ会社のあり方という点では考えさせられることが多かったと思っています。分社した母体は、NTTの研修部門の発注機能です。ということは、この会社に研修ノウハウがあったわけではありません。
東京都調布市にあった中央研修センターや、大阪や名古屋など、旧支社所在地にあった地域の研修センターごと、現場を一緒に切り出したのではありませんでした。その結果、NTTデータやNTTドコモなど、分社した会社に研修ノウハウが蓄積されることになりました。
一緒に就任した常務と、NTTラーニングシステムらしい強味を持つとか、NTTグループ外への販路拡大など、いろいろと画策し、広尾にあったNTTコミュニケーションズ研修施設閉鎖にともない、新橋に独自の研修機能を作り、独自講座やIT機能充実などを行うことになりました。
NTTグループが持っていた機能を一部分担し、主として発注機能を担う会社は、NTTラーニングシステムズだけではありませんでしたが、そこに付加価値をつけることが容易ではなく、プロセスやコスト構造が多重化したことが、部外に向けての価値にはなりませんでした。
研修以外に、ITサービス、映像制作サービスなど、独自事業へと転換を図りましたが、順調には行きませんでした。グループ会社の限界を感じた2年間。これはという業績を残すことができなかったのは残念でしたが、グループ会社の抱える課題を痛感することは出来ました。